
経営企画部(前職) 上野聡
東京都のヒートアイランド対策推進エリアに位置している当社の「アーバンネット三田ビル」の屋上で2006年5月、サツマイモの水気耕栽培を開始しました。これは、都市部において近年大きな問題となっているヒートアイランド現象の新たな緩和策を探るため、(株)NTTファシリティーズと共同で実証実験を行いました。最近では、屋上緑化によるヒートアイランド緩和対策について、かなり認知度も高まってきていますが、サツマイモ栽培による取り組みをご存知の方は大変少ないのではないかと思います。しかし、私たちは、このサツマイモによる屋上緑化システムに大きな可能性を感じています。数多くのビルを所有する当社としては、今回の実証実験を通じ、都市のヒートアイランド緩和対策に貢献していくことを目指していきます。
暑くなる都市部

近年、都市部特有の環境問題として、郊外よりも都市部の気温が島状に高くなるヒートアイランド現象が注目されています。実際、東京など日本の大都市においては、地球温暖化の影響を大きく上回って平均気温が上昇していることが確認されています。 ヒートアイランド現象の主な原因は、人工排熱の増加や緑地・水面の減少、あるいは建築物・舗装面の増大による地表面の人工化などであると考えられており、日中の高温化や熱帯夜の増加を招いているだけでなく、局地的集中豪雨との関連性も指摘されています。
当社の取り組み状況
ヒートアイランド緩和対策については、2004年に政府が「ヒートアイランド対策大綱」を策定するなど、官民をあげた取り組みが進んでいます。また、東京都や大阪府、横浜市などといった都市部を抱える自治体では独自の施策も実施しており、当社も自治体のガイドラインを順守しながら、屋上緑化や壁面緑化、敷地内の自然被覆化、人工排熱削減など、さまざまな対策を積極的に講じています。
都市の大部分を占める既存ビルの屋上は未だ未利用な場合が多く、有効活用が求められていますが、今回、土が不要で簡単に屋上緑化が導入できる新たな手法の確立を目指し実証実験に着手しました。
実験の概要
現在、屋上緑化の主流は芝生やセダムを用いたものとなっています。そこで当社は、2006年の5月よりアーバンネット三田ビルにおいて、新たな屋上緑化手法の確立を目的に、サツマイモの水気耕栽培システムの効果検証実験を開始しました。この実験は、(株)NTTファシリティーズとの共同実証実験となっており、これまで実証実験データが少ない本システムによるヒートアイランド緩和効果を科学的に検証し、有効性を実証したものです。

スケジュール 期間2006年4月~11月の拡大表示 ![]()
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サツマイモの選定理由
当社がサツマイモの水耕栽培システムを実験対象として選定した理由としては、以下のような数多くの高い効果を見込めることがあげられます
- 優れた蒸散効果により、気化熱による高温緩和効果が高い
- システムが軽量であり、既存物件の屋上耐荷重でも導入が容易
- 防水・防根対策が不要で低コスト
- 枝葉の厚みが40~50cmと芝生よりも背が高く、太陽をさえぎる遮熱効果が高い。逆に、樹木よりは背が低く、防風対策が不要
- 病虫害に強い。また、育成や収穫を通じて、人々に癒しの効用などを提供

40cm以上に伸びるサツマイモの枝葉

病虫害に強いサツマイモ
実証実験の結果
天候が比較的安定した8月の中旬に行なった測定では、サツマイモで緑化していない区域の屋根表面温度は最高温度55°Cとなり、屋根コンクリートがヒートアイランド現象の要因となっていることが分かりました。一方、サツマイモで緑化した区域は最高温度28°Cにとどまり、最大で27°C屋根表面温度が低下するなど高いヒートアイランド緩和効果が確認されました。また、サツマイモの蒸散作用により太陽からの正味放射量(太陽エネルギー)の80%が吸収されていることも確認できました。
屋根の表面温度の1日の変化

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サツマイモの収穫
1つのプランターからは約5kgのサツマイモが実り、10月末にも当ビルのテナントや報道関係者の方々をお招きし、サツマイモの収穫祭を楽しんでいただき、約100kgのサツマイモが収穫できました。また、当日は収穫した芋や葉、茎を使ったサツマイモメニューをつくり、試食会も行いました。


今後の取り組み
今回の実証実験の結果を踏まえ、ヒートアイランド緩和対策として、今後も「アーバンネット三田ビル」において本システムによるサツマイモ栽培を展開するとともに、定植や収穫祭などのイベントを通じ、テナントの方々とのコミュニケーションの場としても活用していきたいと考えています。
また、自社所有ビルへの本システムの展開として、2007年春から、「アーバンネット上名古屋ビル」や「パセーラ(基町クレド)」においてもサツマイモ栽培の展開を計画しています。
今後もNTT都市開発は地球温暖化の抑制や自然環境との共生など、環境保全活動を積極的に推進していきます。



