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あらゆる都市機能が集積する利便性の高い立地にふさわしく、存在感あるデザインと確かな機能を備えたアーバンネット定禅寺ビル。設計の意図やプランニングにこめられた想いを開発担当者に聞きました。


定禅寺通と東一番丁通の交差点から見たアーバンネット定禅寺ビル。ファサードの白い壁は構造壁として1枚の板のような形状になっており、デザインと構造の両面から設計されている
写真:吉村行雄写真事務所
─ 今回の設計コンセプトを聞かせてください。
アーバンネット定禅寺ビルは、緑ゆたかなケヤキ並木が美しく、ジャズフェスティバル等多くのイベントも行われる仙台を象徴するストリート・定禅寺通と、七夕で有名な東一番丁通の交差点に面しています。その恵まれた立地にふさわしく、さらに、当社のスローガンの“「人」と「街」と「自然」の調和”をまさに具現化すべく、街並みと調和し街のシンボルとなるような外観デザインを意識しました。また、このエリアが仙台市の景観形成地区に指定されていることも考慮し、定禅寺通とのつながりをもち、地域にも貢献できるよう、1階の道路側に歩行者が自由に通り抜け可能な、歩道と連続し一体となったピロティを設けました。

前方に大きく張り出したガラスカーテンウォールは、時間帯や見る角度によっても色合いを変える。内部の光が柔らかく周囲を照らし出す夜間の佇まいもまた美しい
※写真:吉村行雄写真事務所
─ 透明感あふれるガラスカーテンウォールが印象的ですね。
ガラスカーテンウォール自体の手法も材料も、今回、特に目新しいものを使ったわけではないのですが、実は開放性とデザイン性を狙った構造に特徴があります。通常は階毎に窓面を覆う1mぐらいの太い梁が入るのですが、今回は無梁版構造を採用し、細い丸柱とコンクリート床のみの構造としています。そして、もう1つは、床面を50cm前方に出して庇にしたこと。この庇が延焼を防ぐ構造として建築基準法の防火規定をクリアするので、窓を写真のように床から天井までのフルハイトのガラスにすることができたのです。これにより、道路に面するオフィスの東側の窓は、開放感が高まり、見た目にもスッキリと洗練された印象になりました。

床面から3.39mの天井まで視界が開け、緑ゆたかな周辺の景色を一望できるペリメーターゾーン。開放感あふれる空間がオフィスの居住性や快適性を高めてくれる。ワイドな無柱空間はレイアウトの自由度も高い
※写真:吉村行雄写真事務所
─ オフィス空間の特徴はどんなものがありますか?
まず、東北の中核都市仙台におけるオフィスビルとして、また当社のオフィスビルブランドであるアーバンネットシリーズとして、どんなスペックが最適か、いかに付加価値を付けるかということを考えました。例えば、定禅寺通側のコーナー部からの眺めは商品価値を高めるポイント。そこで、無梁版構造部分を定禅寺通側に大きく拡張しました。この明るく開放感のあるペリメーターゾーンは、例えば役員室や会議室など特別な場所を想定して、天井高も3.39mと非常にゆったりとした造りになっています。また、最上階の7階ではこのペリメーターゾーンをテラスに置き換えたバリエーションとしています。1フロア約109坪と比較的小規模なビルですから、共用部はコンパクトにまとめながらも、トイレの入口をドアレスにするプランニングを行い、また、エレベータホールや階段室にも小窓を設けて採光を確保したりと、共用部のゆたかさや使い勝手にも配慮しています。

歩道と一体化したピロティ空間。1階部分の外壁も透明なガラスが用いられており、グレード感を漂わせる落ち着いたエントランスゾーンを演出しながらも、街に開かれた明るい空間になっている
※写真:吉村行雄写真事務所
─ 特に苦労した点は?
そうですね、この開発の基本設計の段階が、ちょうど2008年の北京オリンピックの影響で鉄骨の価格が異常に高騰していた時期でした。そのため、コストの制約がある中でより良いものをつくるべく、構造の考え方を何度か軌道修正し、最終的には、鉄骨の量を減らすよう、一部の構造をRC構造に変更しました。また、正面の横に張り出した白い壁は、実はデザイン性だけでなく構造壁として全体のバランスをとるように工夫したものです。外壁は、コストとデザインの両面を勘案し、建物のシャープな形を活かせる白の塗装仕上げに落ち着きました。これは光触媒を利用しセルフクリーニング機能を持つ塗料を使っています。装飾を抑えたことで、いろいろなものが削ぎ落とされ、かえってシンプルで統一感のあるデザインになったと思っています。

工期は約1年。プロジェクトは当初の予定通り順調に進行し、2009年9月に竣工。
─ 地域の優れた建物としても表彰されました。
“せんだいデザインウィーク2009”というイベントの中で、市民の方々の応募による『街中グッドデザイン展』があり、JIA賞をいただきました。今回のプロジェクトは竹中工務店東北支店との共同設計だったのですが、特に発想やデザインの方向性等も共通するものがあり、互いに良い提案をしながら進めることができたので、とても恵まれていたと感謝しています。建物は完成後、何十年も使われていくものですから、年を重ねるごとに街の中に溶け込み調和していってほしい、地域や人々に親しまれる存在になってほしいと切に願っています。
「アーバンネット定禅寺ビル」のもっと詳しい情報はこちらから:
http://www.nttud.co.jp/business/office/detail/id/249
※せんだいデザインウィーク (SENDAI DESIGN WEEK)
宮城・仙台を拠点として活動するデザイン関連団体が一同に会し、デザイン産業や文化の振興、美しい街づくり、次世代の人材育成に寄与することを目的として、2004年から開催されている。
せんだいデザインウィーク公式ホームページ:http://www.sdwk.jp/