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"自分の居場所"を育てるための、ふたつのアプローチ

"自分の居場所"を育てるための、ふたつのアプローチ

影山

家族や自宅、職場も居場所になり得ないときに、それをどこに求めるか、どう幸せに生きていくことができるのか。とても現代的かつ都会的な問いだと思います。ネットやSNSはその受け皿のひとつですが、それだけでは人間のいろいろな感情や機微、とくに負の感情である痛みや怒り、悲しみには寄り添いにくいのではないでしょうか。

佐渡島

僕は、ネット上のコミュニティはそういう感情に寄り添う場になり得ると思っています。僕らが運営する、コミュニティプロデューサーを養成するためのコミュニティ「コルクラボ」上で、誰かが「なんかしんどい」と発言したとします。すると、それに誰かが「大丈夫? いまから会おうか?」と応える。このように、オンラインとオフラインの連続性をどう持たせるかが、ネット上のコミュニティにとっては重要だと考えています。

影山

僕の場合は、クルミドコーヒーを核とする人々の関係性がまずあって、次の段階でその人たちが自発的に何かを始めるきっかけをつくっていきたい。「胡桃塾(ことうじゅく)」と呼んでいる勉強会はそうやって新たなアイデアの芽を育てるための取り組みでもあります。教え、教わるという関係ではなく、一緒に学びませんかという呼びかけです。気付くといろいろな人が雑木林のように盛り上がっていて、クルミドコーヒーはその中の1本の木にすぎなくなっている。そんな将来像を思い描いています。
胡桃塾のメンバーの中からバーベキューや合宿などを提案してくれる人が出てくるようになったんですが、でも日程調整をしていたら「影山さんだけNGの日ですが、この日にしようと思います」って(笑)。呼びかけ人が除外されるという、でもそれはある意味ですごく嬉しい話でもあります。

佐渡島

コミュニティが影山さんから自立し始めたわけですね(笑)。じつはコルクラボも、ほぼ同じような考え方です。僕も会社員時代は勤務というかたちで自分の時間を売っていたわけですが、コルクラボではやりたければやる、やりたい人がやるということで、みんなが勝手に行動するのを支援していきます。影山さんと同じく「生きていく以上は幸せに、楽しいのがいちばん。やりたいことをやる場にしよう!」と。
でも一方で僕自身には、小山宙哉の新作を読みたいという欲求がすごくある。作家が作りたいと望むものを描き切ってほしいので、そのために作品がある程度売れる保証としてファンのコミュニティが必要になるわけです。ですから、そこは管理していかなければなりません。どちらにしても、人の才能を引き出していくための方法ですね。

影山

そのふたつは、これからの経営のあり方にも通じますよね。自動車をつくるように企業活動をするのか、それとも植物を育てるように企業活動をするのか。自動車には設計図があるように、カフェの売り上げ規模や物販の機能など、いろいろな経営資源を組み合わせて目的地へいかに効率的にたどり着けるかを考える。一方、植物的なアプローチには設計図がなく、遺伝子はあるにしても、最終的にどういう樹形や森に育っていくのかという最終形は決まっていない。いわば、工学的なアプローチと生命論的なアプローチですが、僕自身は後者のやり方で、クルミドコーヒーや西国分寺の町のことを考えていきたい。

佐渡島

そのお話で思い浮かんだのは、帯広の町のことです。北海道の大半は屯田兵が開拓したのに対して、帯広だけは民間兵だったという歴史的背景から、町にチェーン店がほとんどない。「自分たちは言われてやる人間ではなく、自分たちでやる人間なんだ」という精神が町にも表れている。そういうかたちで、町が自分たちなりの色に染まっていくのは面白いですよね。

影山

面白いですね。僕としても、まさにそういう境地を目指したいと思っています。

  • CREDIT
  • - 主催:NTT都市開発株式会社 デザイン戦略室
  • - 企画&ディレクション:Takram
  • - トーク進行:渡邉康太郎(Takram)、深沢慶太(フリー編集者)
  • - 構成:深沢慶太(フリー編集者)
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  • - 主催:NTT都市開発株式会社 デザイン戦略室
  • - 企画&ディレクション:Takram
  • - トーク進行:渡邉康太郎(Takram)、深沢慶太(フリー編集者)
  • - 構成:深沢慶太(フリー編集者)

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