廃棄物対策(循環型社会構築への貢献)
長寿命設計
NTTグループの「建物グリーン設計ガイドライン」は、建物の長寿命化を重視し、1. フレキシビリティ(機能や用途の変化に柔軟に対応できること)の確保、2. メンテナビリティ(維持管理のしやすさ)の重視、3. リニューアルへの対応、4. 耐久性の向上、という原則を示しています。NTT都市開発では、このガイドラインに基づく建物設計を行っています。
NTTグループ建物グリーン設計ガイドラインが示す長寿命設計の原則
項目 | 内容 |
---|---|
1. フレキシビリティの確保 | 建物のライフサイクルにおける機能、用途、使用者などの変化に対応できる柔軟性を確保する |
2. メンテナビリティの重視 | 清掃、点検・保守などのメンテナンス作業が効率的かつ安全に行えるよう配慮する |
3. リニューアルへの対応 | 建物の劣化、故障、被災などに伴うリニューアルが容易かつ適切に行えるよう配慮する |
4. 耐久性の向上 | 建物の劣化を最小限に抑え、機能維持が容易に行えるよう配慮する |
当社の分譲マンションは、「永住性への配慮」をコンセプトの一つとしています。将来の家族構成の変化をあらかじめ想定し、間取りの変更およびメンテナンスを容易にするためのさまざまな設計上の工夫を施しています。また、構造躯体などは住宅性能表示制度の劣化対策等級の最上級である「劣化対策等級3※」としています。
- ※劣化対策等級3:通常想定される自然条件および維持管理の条件の下で、3世代(おおむね75年~90年)まで、構造躯体等に関わる大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するために必要な対策が講じられていることを示しています。
建設副産物のリサイクル
当社グループの事業活動では、既存の建物が建っている土地を新規に開発する時などに、建物の解体に伴い、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材(木くず)などの建設副産物が発生します。当社は、この建設副産物が可能な限りリサイクルされるよう、信頼できる事業者に処理を依頼するとともに、建設副産物のマニフェスト(帳票)管理を行うことを通じて、リサイクル率の安定化に取り組んできました。特定建設資材廃棄物のリサイクル率98%以上を継続的な目標としています。
2014年度は、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、木くずのリサイクル率は順に99.9%、100.0%、99.1%で、全体のリサイクル率は99.9%となり、目標を達成しました。今後もリサイクル率の維持・向上に引き続き取り組んでいきます。
建設廃棄物(特定建設資材廃棄物)のリサイクル率の推移(%)
年度 | 2012 | 2013 | 2014 |
---|---|---|---|
コンクリート塊 | 99.2 | 96.9 | 99.9 |
アスファルト・コンクリート塊 | 94.5 | 98.5 | 100.0 |
木くず | 88.6 | 86.9 | 99.1 |
全体 | 98.3 | 96.1 | 99.9 |
再利用による新たな価値創造(秋葉原UDX)
再利用によるウッドデッキ改修工事を行った秋葉原UDX(東京都千代田区)では新品では実現できない深みのあるデザインが評価され、2014年度グッドデザイン賞をいただきました。
2006年に竣工・開業した秋葉原UDXでは、その1、2階に配した天然木材によるデッキスペースが、秋葉原駅へとつながる快適な通路として、またイベントスペースとして、都市の皆様にくつろぎの空間を提供してきました。
そのため改修では、これまで親しまれてきたデッキ空間の良さを残しながらも、新たな付加価値を取り入れた再生デッキ工法に取り組みました。
具体的には、既存ウッドデッキ材の表面を波模様が美しく連続するデザインとなるよう薄く削り、経年による風合いを積極的に表現しています。ミリ単位で配置された波模様は、歩行時の滑り止めとしても機能します。
再利用により、資源保護、廃棄物最小化に貢献できただけでなく、古いものならではの美しさを表現し、かつ実用面での機能向上を実現しました。
一般廃棄物のリサイクル
当社グループは、保有・管理するビルや商業施設などにおいて排出される一般廃棄物のリサイクルを継続的に推進しています。共用部など、直接管理できる空間についてはもちろん、テナントの皆様が管理する空間からの一般廃棄物についても、減量・分別の徹底などについて協力をお願いしています。
生ごみの再資源化で循環型社会に貢献(NTT幕張ビル)
NTT幕張ビル(千葉県千葉市)では、2013年に生ごみ処理機を導入しました。以後、同ビル内の食堂などから排出される生ごみを堆肥化し、農家の野菜作りに活用していただく取り組みを進めています。
取り組み前と比較し、焼却ごみは1年につき90トンと半減、CO2の排出量は約170トン削減されました。このCO2削減量は、植樹換算にして杉の木1万2,000本相当になります。
この取り組みが評価され、NTT幕張ビルは2014年「千葉市ごみ減量・再資源化優良時業者」として表彰を受けました。
テナント様との協働を通じたリサイクル推進(日経ビル・JAビル・経団連会館全体共用部)
当社では、2009年4月に大手町で竣工した日経ビル・JAビル・経団連会館(東京都千代田区)の全体共用部を対象に、PM業務として廃棄物のリサイクルを継続的に推進しています。
ビルの竣工に先立ち、廃棄物処理会社と話し合い、一般廃棄物8種類、産業廃棄物10種類に分別することを定め、テナントの皆様に廃棄ルールを説明した従業員ハンドブックを配布しました。また、飲食店舗が多いことから食品リサイクル強化に向けて、食品リサイクルに特化した分別区分表を作成し配布しました。
さらに、リサイクルセンター(ごみ置場)内には、(1)廃棄物に関する情報(廃棄物の発生量、リサイクル率など)を発信するための掲示板を設置することによる「見える化」の推進、(2)4カ国語(日本語・英語・中国語・韓国語)の分別表示、(3)実例写真を使用したわかりやすい分別区分表の掲示の他、(4)店長交代時期を捉えての分別個別指導など、工夫を凝らした施策を継続的に行っています。こうした取り組みを通じて、テナント様のご協力をいただくことができ、現在は、85%台の高リサイクル率を達成・維持しています。可燃ごみ以外は、食品残さを含め100%リサイクルしています。
今後も、廃棄物リサイクルをさらに推進する施策に取り組んでいきます。