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NTTグループ連携により、住まい方の新たな形を提案
~つなぐTOWNプロジェクト~

高齢化社会において、いかに暮らしの安心を実現していくか。この重要な問いに答えるために、NTT都市開発は分譲マンション隣接地にサービス付き高齢者向け住宅を同時開発し、連携してサービスを提供する、という新しい仕組みを打ち出しました。これにより、親子が近くに暮らすことや、分譲マンションを買った人が将来に備えることが可能になります。
「つなぐTOWNプロジェクト」第1弾、第2弾の物件担当者に、取り組みについて聞きました。

高齢者の住まいに対するニーズの多様化に応える

NTT都市開発のサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)第1号である「ウエリスオリーブ新小岩」が2010年に完成して5年。今回、分譲マンションと併設するという新形態の開発に至ったのは、どのような考えからでしょうか?

インタビューに答える、劉 釗社員の写真
住宅事業部 事業開発部
第3分譲グループ
劉 釗

高齢者の方々の住まいに対するニーズが多様化してきている、という基本認識に立っています。
2014年2月に、新小岩で資料請求をいただいた方やNTTグループのOBを対象にアンケートを行いました。
回答者数は1,300人弱で、多かったのは60~85歳でした。
アンケートの中で「入居してもいいと思う施設」を選んでいただいたところ、サ高住、介護付き老人ホーム、シニア向け分譲マンションの順になりました。

インタビューに答える、市川 奈央社員の写真
住宅事業部 事業開発部
第3分譲グループ
市川 奈央

サ高住を選ばれた方々は、見守りや安否確認はしてもらいたいけれど、普段はプライバシーが守られた生活をしたい、というご意向だと思います。
一方、老人ホームを希望された方々は、介護がしっかりしたところに入居したい、というお考えでしょう。
意外にニーズが強かったシニア向け分譲マンションですが、これはサ高住や老人ホームより居室が広かったり間取りが豊富だったりする点と、賃借権や利用権ではなく、所有権を持つことができる点が魅力になっているのだと思います。

同じ敷地に分譲マンションとサ高住を設けることで、どのようなニーズに応えられるのでしょうか?

インタビューに答える、古賀 優太郎社員の写真
住宅事業部 戦略事業部
シニア事業グループ
古賀 優太郎

まず、親子の近居が可能になります。分譲マンションに子ども世帯が入って、親がサ高住を利用する形ですね。
分譲マンション購入者には本人と2親等以内の親族に対し、サ高住の優先入居権が提供されるので、親世代の呼び寄せはもちろん、本人のスムーズな移り住みも可能です。
また、将来サ高住の見守りサービス等が必要になった場合には、分譲マンションに居ながらにして、隣接するサ高住からサービスを受けられるような仕組みを作りました。

インタビューに答える、渡部 厚社員の写真
住宅事業部 戦略事業部
シニア事業グループ
渡部 厚

サ高住の居室プランも、これまで新小岩では「自立型」といって、比較的健康な方に向けたプランを用意していたのですが、多様なニーズを踏まえ、ウエリスオリーブ津田沼では自立型に加えて「介護型」のプランも用意しました。
高層の見晴らしが良い階には、自立型の比較的広い居室を整備していて、平均で35m2程度確保しています。
一般的な賃貸マンションと同様に、キッチンやお風呂、洗面などが整っています。
そして、中層・低層には介護型の居室を配置しました。広さは18~20m2が多いです。
水回りは簡易洗面所とトイレに絞って、食事やお風呂は同じフロアのラウンジや共同浴場を使っていただきます。

ご高齢の方は、住み慣れた場所にずっと住み続けたい、というニーズが強い傾向がありますが、介護施設に入るとなると、ロケーションを変えなければならないことが多々あります。分譲マンションを購入されたお客様にも、同じ場所に住み続けていただけるようにしたことが、このプロジェクトの最大のポイントです。暮らしの変化に柔軟に対応できる住環境づくりによって、「今も、未来も、心地いい」というウエリスブランドの思想を現実いたします。

高齢者だけでなく、より幅広い世代に対する暮らしのニーズにも応えているのでしょうか?

ウエリス津田沼は、ご高齢の方でも快適に利用できるよう配慮していますが、主に利用いただく方々としてはファミリー層を想定し企画しています。おかげさまで、全58戸が5カ月で完売しましたが、お客様の年齢層は通常のマンションに比べて少し高めという程度です。

周辺戸建・マンションからの買い替えのお客様や、親との近居を意識された方々にもご好評をいただいています。親が元気なうちは離れて暮らしていて、介護が必要になるタイミングで呼び寄せることもできます。

家族の変化にきめ細かく対応

ハード・ソフト両面で、具体的にはどのような工夫をしているのでしょうか?

ウエリス津田沼には、大きく4つの特徴があります。まず、可動間仕切り「ウォールドア」の導入により、家族の変化に柔軟に対応できるようにしました。家族が親子3人の場合はウォールドアを開いてリビングとして空間を広く使えますし、子どもが増えたら、ウォールドアを閉めて空間を仕切ることで子ども部屋を増やせます。

ウォールドアを閉めて利用した部屋のイメージ写真
ウォールドアを開けて利用した部屋のイメージ写真

ライフスタイルの変化に合わせて間取りが変更できるウォールドア


収納スペース入り口のイメージ写真、収納スペース内部のイメージ写真
収納率10%以上※の豊富な収納スペースを確保 ※一部タイプを除く

2つ目は、収納率が10%を超えている点です(一部タイプを除く)。長く住めば住むほど収納物は増えますので、ウォークインクローゼットやウォークスルークローゼット、布団収納付きクローゼットなど、さまざまな収納を充実させました。


IHクッキングヒーターのイメージ写真
火を使わない安心感のあるIHクッキングヒーター

3つ目に、お住まいになる方々が高齢になることに備え、さまざまな視点から安心・安全に配慮しています。全戸で、浴室とトイレに緊急コールボタンを設置し、体調が悪くなったときに人を呼べるようにしました。また、トイレには「ライフリズム」と呼ぶ人感センサーも付けました。これは、在宅中にもかかわらず長時間反応がない場合は、何か異常があった可能性が高いとして警備会社に自動通報される仕組みです。キッチンには、ガスコンロではなく、火が出ず、ガス漏れの心配もないIHクッキングヒーターを標準で採用しました。


最後に、サ高住と連携した各種サービスが受けられます。1日1回のごみ回収(玄関訪問)や、緊急時のかけつけ、サ高住の食堂ラウンジやシアタールームなど共用空間の利用など、サ高住と同等のサービスが受けられます。別途契約型のサービスなので必要になるときまでは費用負担がなく、お住まいの方の将来のケア・介護ニーズに応じて利用できる形にしています。

(仮称)ウエリス練馬関町では、津田沼とは異なるプランはありますでしょうか?

設備などについては、基本的に津田沼と共通にする計画です。これに加えて、屋上にはサツマイモを栽培する庭園を設け、夏の暑さを和らげるとともに、憩いの場にもする予定です。

また、分譲マンションに限らず、敷地全体として「交流」を強く意識しています。サ高住のレストランを開放して、マンション住民や近隣住民も利用できるようにするほか、交流に寄与できそうなイベントをいろいろと計画中です。例えば、犬のしつけ教室やトリミングなど、ペットを飼っておられる方々向けのイベントを考えています。ご高齢の方にとって、ペットは非常に重要なパートナーとなっていることも多いので、その点に着目して企画しました。マンションとサ高住の間の交流を促すだけでなく、地域のコミュニティづくりにも貢献できるよう、今後もさまざまな催しを考えていくつもりです。

こうした計画が評価されて、(仮称)ウエリス練馬関町と(仮称)ウエリスオリーブ練馬関町は、東京都の「一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅整備事業」に選定されました。

NTTグループの総合力を結集

このプロジェクトは、NTTグループ全体での取り組みということになるでしょうか?

津田沼、練馬関町はいずれも、NTT東日本が保有する遊休不動産を活用するものです。
プロジェクトの企画は、福祉・介護にノウハウを有するテルウェル東日本と共同で行っています。テルウェル東日本は、サ高住の運営も担当し、訪問介護サービスやデイサービスも提供します。分譲マンションの管理は、当社のグループ会社であるNTT都市開発ビルサービスが手掛けます。
さらに、練馬関町では、屋上緑化にNTTファシリティーズの環境保全技術が生かされ、NTTドコモが災害時のインフラ整備やイベント協力を行うなど、より幅広いNTTグループ企業が参画しています。
NTTグループの総合力を結集したプロジェクト、といってよいと思います。

NTTグループの総合力を結集したプロジェクト

NTTグループがこのプロジェクトを手掛ける意義を教えてください。

NTTグループはICT(情報通信技術)事業をメインに取り組んでいるので、今後はもっとそのICTを活用して、高齢者の方が楽しんで生き生きと暮らせるような仕掛けづくりを考えていきたいですね。グループ各社がさまざまなメニューを持っているので、当社のサ高住を実証フィールドとして、先進的なソリューションを取り入れていければと思います。

また、入居の決め手とまではいかないかもしれませんが、事業主の信頼性に重きを置かれるお客様は多いです。将来にわたって長期間住み続けることを考えているお客様にとっては、NTTグループが提供していることが安心に結び付いているのではないかと思います。

「つなぐTOWN」というプロジェクト名には、どんな意味が込められているのでしょうか?

多世代の方へ向けたプロジェクトなので、ネーミングは分かりやすさを重視しました。もう少し"ひねった"言葉を使うことも考えましたが、それよりも、誰が見ても一目で分かることを大切にしました。「つなぐ」には、多世代間をつなぐ、物件と街をつなぐ(地域のコミュニティづくりに貢献する)、現在と未来をつなぐ(可変的に長期間住まえる)、といった意味が込められています。「つなぐ」は、NTTグループが大切にしている言葉でもあります。

"住まい"としての品質にこだわる

つなぐTOWNプロジェクトを実現する過程では、どのようなハードルがあったのでしょうか?

何しろ業界初の取り組みなので、サ高住から隣のマンションにサービスを提供する、という基本的な計画に関しても、行政との協議を重ねる必要がありました。まず船橋市に、それから千葉県に相談し、最終的には厚生労働省、国土交通省とも協議を重ねて、了承をいただきました。
ほかにないスキームなので、細かい部分のルールづくりもゼロから始めています。分譲マンションの入居者がサ高住の施設を利用できる、という特長を具体化するために、シアタールームの利用時間帯をどう設定するか、カギの受け渡しやレストランの料金徴収はどうするか、といった具合に、詳細を一つひとつ詰めていきました。

今後の取り組みに向けた考え、意気込みを教えてください。

現在の高齢者向け住宅の提供者は、介護事業者がメインになっています。介護事業者ですと、ケアを重視する分、どうしても住まいとしての住宅へは意識が及びにくいのではないでしょうか。以前はそれで良かったのかもしれませんが、高齢者の方々やご家族の住まいに対する意識も変わってきています。
当社は、デベロッパーとして分譲マンションづくりを数多く手掛けてきた経験から、住まいのノウハウを持っています。NTTグループ企業と連携してさまざまなサービスを付加しながら、ウエリスの思想に立ち、住まいとしての品質にこだわっていきたいと考えています。