烏丸通に建つ旧京都中央電話局が、「新風館」として2001年1月に生まれ変わって、今年で7年目を迎えます。新風館は、歴史的な建築物を保存しつつ、それを資源として現代の用途・機能に活用するために、当社がリニューアルした商業施設です。古い建物を活かして地域活性化を図りたい、という京都市と地域住民の要請に応えて誕生したものです。
オープン以来、当社は、新風館の中庭に設置したステージ「Re-Cue(りきゅう)ホール」で、毎日イベントを開催して話題づくりを続けています。その結果、来館者数は年々増加し、2007年には累計で1,600万人を超えました。
こうして新風館は今、地域と共存しながら街の賑わいを増幅させており、同時に、烏丸通・三条通界隈にかけての商業的なポテンシャルも高めつつあります。
京都に新しい風を吹かせる
旧京都中央電話局
旧京都中央電話局は、大正末期に竣工した赤茶色のレンガ、アーチ状の窓枠といった当時の流行を積極的に取り入れたデザインで、京都市登録有形文化財の第1 号に指定されています。建設当初は電話交換オペレーションセンターとして使用され、のちに電電公社、NTT、NTT西日本のビルとなりました。
当社は、この歴史的建造物を活かしつつリニューアルするという難題を検討した結果、商業施設として活用することに挑戦しました。烏丸通・三条通界隈にかけてのこのオフィス街に人の賑わいを創出し、商業エリアとしても発展させるためです。そして、京都に商業的な新しい風を吹かせたいという思いから、この建物を「新風館」と名づけました。
新風館
伝統的な街並みを大切にした造り
新風館のある中京区は古都、京都としてのたたずまいを最も多く残し、伝統的な家並みや歴史的な建造物の多い地域です。当社は、新風館がこうした古い街並みと調和するように配慮しました。烏丸通に面したL字型の歴史的な建物を残しつつ、閑静な雰囲気の通りから一歩入ると、建物の内側にはレストランやアパレル関連のショップ約30店舗が並び、活気に満ちた空間が広がります。
中庭より店鋪をのぞむ
自然との一体感にこだわった中庭
Re-Cueホール
中庭は自然との一体感にこだわり天井のない野外広場とし、来館者の皆さまには自然の織りなす四季折々の変化を感じていただくことができます。
中庭の中央にイベント用ステージ「Re-Cue(りきゅう)ホール」を設置し、人が気軽に出入りできる空間をつくっています。建物の各階には回廊を設け、ホールを見下ろすギャラリースペースとしました。
ご近所」に配慮しつつ賑わいを創出
新風館は烏丸通の東側のオフィス街に位置しているため、「Re-Cue(りきゅう)ホール」と中庭をつくり、多くの人々を集め賑わいをつくることを考えました。
ホールでは、地元放送局の公開番組、人気アイドルグループのコンサート、ファッションショーをはじめ京都府・市の行事、地域の祭りなど、多彩なイベントをほぼ毎日開催しています。話題性に富むこうしたイベントが来館者を増やし、新風館はオフィス街のオアシスとして親しまれています。
また、イベントによる騒音で近隣の方に迷惑とならないように、防音装置を施したり、事前にイベントのお知らせを配布するなどの対応を行っています。
Count Down Live
地域の街づくりに参画
平成女鉾
新風館を運営する当社は、烏丸通と姉小路通の町内会の住民でもあります。この界隈は創業200年を超える老舗が多いところです。当社は、そうした老舗の知恵を授かりながら、地域の行事に参加して、住民の方々との交流を深めています。また、町内会として当社が関わる最大の行事は祇園祭です。当社は、山鉾を守る財団法人鈴鹿山維持会の監事を務め、寄進だけでなく、巡行の準備、歩行者天国の終了後の清掃などで祭に参画しています。
2007年3月には、祇園祭の好きな女性が結成した「平成女鉾清音(さやね)会」の発足10周年記念の行事が「Re-Cue(りきゅう)ホール」で開催されました。行政の行事にも協力し、今年は京都府主催の「新緑祭」にも当ホールおよび中庭を提供しています。10月には、第5回京都学生祭典のフィナーレを飾る会場として、初めて中庭とホールが使われました。また同じ月に、「歩いて楽しいまちなか戦略推進協議会」が試みた調査において、新風館に併設した駐輪場を無料提供して協力しました。
京都府の起業家支援策を支援
新風館では、ものづくりに携わる若い世代を育てて新しいブランドを創造するために京都府が進めているプロジェクト「京都デザインインキュベーション」にも協力し、インキュベート事業「KYOTO STYLE」を立ち上げました。そして、3階の10店舗を同プロジェクトの「デザインインキュベーション施設」として提供し、当館での店舗展開を通じて若いデザイナーの自立・創業を応援しています。
KYOTO STYLE 外観
人の賑わいが新しいステージを生む
最近「Re-Cue(りきゅう)ホール」は、プロのミュージシャンの公演や自治体などの行事だけでなく、地元サークルやカルチャースクールの発表会にも使われるようになりました。新風館では色々な催し物ができるという認識が、プロからアマチュアまで幅広い層に浸透してきたのです。若い層を対象としたテナントショップ、京都デザインインキュベーションに協力したショップ、そして「Re-Cue(りきゅう)ホール」と、建物全体が新しい才能を発掘したり表現したりする場であり、最新のファッションなどの動向を真っ先にキャッチできる、情報発信の場として新風館への注目度が高まっています。
来館者数も、2005年度は305万人、2006年度は317万人、そして2007年度は330万人に達する見込みです。これに伴って、周辺にも人の賑わいが生まれ、これまでのオフィス街に加え、新たに商業エリアとしての価値が見いだされつつあります。