「歴史と文化」に根差したまちづくりのために
「歴史と文化」に根差したまちづくりのために
──人類史の視点に立ちながら、その土地の記憶を再生し、新たな文化を紡いでいくために何が必要か。深い洞察と提言に満ちたお話をありがとうございました。その文脈をふまえつつ、会場からの質問にいくつかお答えいただければと思います。
──人類史の視点に立ちながら、その土地の記憶を再生し、新たな文化を紡いでいくために何が必要か。深い洞察と提言に満ちたお話をありがとうございました。その文脈をふまえつつ、会場からの質問にいくつかお答えいただければと思います。
(質問)
京都において、来日する外国人が求めているニーズと地域住民との相反するニーズを両立させ、両者が共存していくために重要なことは何でしょうか。(NTT都市開発 デザイン戦略室 堀口)
キャンベル
ひとつは、古くから住んでいる人たちのための場所の確保でしょう。ヴェネチアのように新たな産業や再開発によって地域住民が追い出され、町の文化が崩壊していく現象を防がなければなりません。京都にはたくさんの大学がありますが、学生たちが卒業後も地域に残って仕事をしたり、文化を学び・背負っていく人たちが居続けたりできるようにする。一番怖いのは人口が減ってしまうこと。観光とは違う次元で人々が暮らし続けられる基盤を強化することが、とても大切だと思います。
竹村
まずは長い目で見ること。数日から数週間、数年まで、いろいろな形で滞在する上で、数日の滞在に即したニーズと、しばらく滞在してからのニーズは異なるはずです。瞬間風速的なニーズへの対応やサービスばかりを考えず、息長く関わってもらうことが一番大切だと思います。何といっても京都は、千年以上もの時間をかけてインバウンドのシーズ(※4)を肥やしにしてきた場所。私自身、京都へはいまだにインバウンドのつもりで行っていますから(笑)。
(※4)シーズ...もともとは「種」の意味だが、ここでは日本独自の歴史文化を醸成するきっかけとなる海外の技術や文化、それらが集積する場の力などのこと。
(※4)シーズ...もともとは「種」の意味だが、ここでは日本独自の歴史文化を醸成するきっかけとなる海外の技術や文化、それらが集積する場の力などのこと。
(質問)
ディベロッパーの役割とは新しいものを作る仕事だと言い換えることができると思うのですが、継承すべきものと新たに創造するべきもののバランスを取る上で、心がけるべきことについて教えてください。(NTT都市開発 デザイン戦略室 吉川)
キャンベル
例えば「西陣織が有名だから織物のイメージを活用しよう」といったように、その場所の歴史的な事象をシンボルとすることは多いと思いますが、パリを例に挙げれば、廃線になった駅を買い取って2千台ものパソコンを設置し、無料で開放した事例もある。その空間と地域の人々との交わりは事業には直接結び付きませんが、集まってきたプログラマーたちが何を作り、どう地域と交わるかによって、新しい文化を一から作っていくことができますよね。"その町のイメージ"という1点に拘泥しないで、新たな活用法を大胆に提案していくべきではないでしょうか。
あとは、観光客が地域と交わることのできる仕掛けですね。数時間しか滞在しない観光客であっても、彼らが何らかの体験を共有できる場所やイベントなど、作業に関わることで地域へ何らかの"置き土産"を置いていけるような双方向の仕掛けが重要だと思います。
竹村
新しく開発するということは悪いことでないどころか、不可欠だと思います。伊勢神宮を常に"古くて新しい場所"に保つための「常若(とこわか)」の思想のように、本当の意味で伝統を継承し、場所の記憶を良い形で受け継ぐためには、人が創造的に関わっていくためのOSが必要です。そのためにはまず深く知り、深く関わること。そして、伝統を深く吸収した部外者や訪問者の方々が新たなものを生み出すクリエイティブな活動を、ディベロッパーの立場からインキュベート(支援・育成)していくこと。そのためには、土地に潜在している価値を継続的に掘り下げながらリスペクトを深めていく作業が必要です。そのリスペクトを共有した人たちがチームを組み、長いスパンでプロジェクトを継続していくことが、一番重要だと思いますね。
──本日はどうもありがとうございました。
──本日はどうもありがとうございました。
- CREDIT
- - 主催:NTT都市開発株式会社 デザイン戦略室
- - 企画&ディレクション:Takram
- - トーク進行:渡邉康太郎(Takram)、深沢慶太(フリー編集者)
- - 構成:深沢慶太(フリー編集者)
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- - 主催:NTT都市開発株式会社 デザイン戦略室
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