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NTTUD DESIGN 対談シリーズ #01 前編 Community 影山知明 × 佐渡島庸平 1 イメージ画像

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「新たな価値を生み出すまちづくり」のために、いまできることは、なんだろう。
私たちNTT都市開発は、この問いに真摯に向き合うべく、
新たな取り組みをスタートさせました。

それは、「デザイン」を軸に社会の変化を先読みし、未来を切り拓く試みです。
私たちが考える「デザインビジョン」から導き出された3つのキーワード
「コミュニティ」「歴史と文化」「ライフ&ワーク」について、
各界で活躍するトップランナーたちの対談を実施。
その模様をここに公開します。

記念すべき第1弾は、生活に根差したコミュニティづくりに取り組むクルミドコーヒー店主の影山知明さんと、ネット上でファンコミュニティ運営を手がける編集者/コルク代表の佐渡島庸平さんによる「コミュニティ」対談。いま求められるコミュニティのかたち、新たな都市開発の可能性を探ります。

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影山 知明
(かげやま・ともあき)

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佐渡島 庸平
(さどしま・ようへい)

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記念すべき第1弾は、生活に根差したコミュニティづくりに取り組むクルミドコーヒー店主の影山知明さんと、ネット上でファンコミュニティ運営を手がける編集者/コルク代表の佐渡島庸平さんによる「コミュニティ」対談。いま求められるコミュニティのかたち、新たな都市開発の可能性を探ります。

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影山 知明(かげやま・ともあき)

クルミドコーヒー、胡桃堂喫茶店店主。1973年、東京・西国分寺生まれ。マッキンゼー&カンパニーを経てベンチャーキャピタルの創業に参画後、株式会社フェスティナレンテを設立。2008年、生家の地に多世代型シェアハウスのマージュ西国分寺を建設し、その1階にクルミドコーヒーをオープン。17年3月には国分寺に胡桃堂喫茶店をオープンし、7月からは学びの場「胡桃塾(ことうじゅく)」を開催。著書に『ゆっくり、いそげ』(大和書房)。http://kurumed.jp/

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佐渡島 庸平(さどしま・ようへい)

編集者、株式会社コルク代表取締役社長。1979年、東京都生まれ。2002年に講談社『週刊モーニング』編集部へ。井上雄彦『バガボンド』、三田紀房『ドラゴン桜』、安野モヨコ『働きマン』などの担当を務める。12年に作家のエージェント会社コルクを設立、小山宙哉『宇宙兄弟』を累計1,600万部を超えるメガヒット作品に育て上げ、TVアニメ、映画実写化を実現。平野啓一郎『マチネの終わりに』など、小説の連載も担当する。http://corkagency.com

場とコンテンツを軸につながる、新しいコミュニティ

場とコンテンツを軸につながる、新しいコミュニティ

──それぞれのご活動内容と、「コミュニティ」に関する取り組みについて教えてください。

──それぞれのご活動内容と、「コミュニティ」に関する取り組みについて教えてください。

影山

東京の西国分寺で2008年から「クルミドコーヒー」というカフェと、同じ建物でシェアハウスを経営しています。17年3月には2店舗目となる「胡桃堂喫茶店」がオープンしたところです。カフェの経営を通じて生まれ育った西国分寺と新たにつながり、面白いまちづくりができたらいいなと思っています。

佐渡島

僕はもともと、出版社でマンガの編集者をやっていたのですが、2012年に独立して「株式会社コルク」を立ち上げ、作家やクリエイターをサポートするエージェント業を始めました。時代の変化とともに出版業界が縮小していくなかで、いま必要な機能とは何かを考えて浮かび上がってきたのがコミュニティでした。コルクでは作家に対する出版機能と、作品に関連した物販、そして作家のファンによるコミュニティを3本の柱に、従来の出版社が持ち得なかった収入源を確保する取り組みを進めています。

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影山

クルミドコーヒーが9年間続いてきた背景には、お店に通ってくださるファンの存在があると思います。彼らは単にコーヒーを飲みに来るだけでなく、我々スタッフのありようや姿勢に何かを感じてくれている。「特定多数」と呼んでいますが、数千人単位の関係性の基盤が経済的にお店を支えてくれると同時に、そこへ関わる人々の安心感や喜びにつながっていくわけです。
一方で、僕がコミュニティに関心を持ったきっかけは経済的な文脈ではなく、生活や暮らしといった住環境の切り口からでした。それは一言でいえば「居場所」であり、佐渡島さんが取り組んでいるようなビジネス的な切り口とは違う観点だと思います。

佐渡島

居場所ということですが、現代人にはその居場所がありません。かつてのように地域のコミュニティだけがすべてだった時代には、誰にでも居場所があった。しかし、いまや小学校や中学校にも裏サイトが存在するなど、誰を信用していいのかわからない時代です。そのなかで、例えば小山宙哉の作品『宇宙兄弟』(※1)のファンクラブであれば、20代の女性から50代の男性まで、通常は接点のまったくない人同士が作品を通して本音で語り合い、仲良くなれる。これからは、そういったコミュニティを作ることのできる企業が競争に勝っていくでしょう。現に、安さや便利さをサービスの中心に据えてきた企業がいま、すごい勢いで失速しているわけです。
(※1)小山宙哉『宇宙兄弟』公式サイト  https://koyamachuya.com(※1)小山宙哉『宇宙兄弟』公式サイト
https://koyamachuya.com

影山

僕なりに捉えるなら、佐渡島さんのアプローチは、コミュニティを別の目的のための手段にしているような気がします。作品のためにコミュニティをどう管理・活用するかという姿勢のひとつの帰結として、サービスの利用など、参加者に対してある種の特定の行動を期待するようなニュアンスがあるようにも感じます。

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トークの進行を務めたTakramの渡邉康太郎
トークの進行を務めたTakramの渡邉康太郎

──それぞれにコミュニティに対してのアプローチが異なるわけですが、ここは本当に相容れない部分でしょうか。

──それぞれにコミュニティに対してのアプローチが異なるわけですが、ここは本当に相容れない部分でしょうか。

佐渡島

それは、職業や立場の違いから来るものかもしれません。クルミドコーヒーにはまず「場」があるけれど、僕らにはまず「コンテンツ」がある。だから絶対的に同質になってくるわけです。

影山

コミュニティの同質性に着目するか、多様性に着目するかという違いも考えられます。『宇宙兄弟』が好きな人同士で仲間になるのはいわば同質的なコミュニティであって、好きではない人は仲間ではないとも考えられる。でも僕は、類似性・同質性に立脚せず、一見して共通項のない人同士が関わり合う可能性に期待しているんです。そもそもカフェは、こちらが選ばずともいろいろな人が入り混じってきますから。

佐渡島

同質か異質かは大きな要素ではあるけれど、僕の場合はコミュニティをネット上でつくるという点でも、違いがあるかもしれません。TwitterやFacebookなどのSNSがいまやオープンすぎて安心できない場になっているのに対して、あえてクローズドな場を用意することが重要です。同質的な人々が安心して交流できる場をまず設けて、そこに多様な人々が加わることで、その内側で多様性が担保されると考えています。逆にリアルな場では同質すぎるとカルトっぽくなりがちで、多様性のある場のほうが間口を広げやすいかもしれないですね。

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